[改憲問題]果たして、96条の改正は必要か?

個人的には、9条の改正には賛成です。
既にあるものを、ないと言い張ってもしょうがないですしね。

小出裕章 原発と憲法9条

しかし、96条は改正するべきではないと考えています。
…というか、自民党案があまりに酷い(と、言われています)。
(参考:自民党草案
何と言うか、「右な人」しか喜べない仕様ですね。
「愛国心」とか「国旗」、「国歌」とか、もはや「死語」かと思うレベルのことが序盤で延々と語られています。
…正直、これを通されると、後々大変なことになるのでここらで止めておきたいです。これを強行されれば「国際人権裁判所」のお世話にもなりかねません。

今回はそのための記事です。
(…ヤフコメのトップ5あたりまでを見ると、本当に不安になります。多分、9条しか頭に無いんじゃないかなぁ。)

とりま、「新設」がやたら多くて、それがかなり酷い。
(具体的に言うと、3条、12条、13条、21条2項、24条、102条1項あたり)

法をかじっている者の一人として、102条1項に至っては愕然としましたよね。

「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」

…これはおかしい。どの法律家が見たってそう思うはず。
憲法は、あくまで国を縛る為の法律であって、国民に強制を強いるものではないからです。

例えば、中学時代に「公民科」で習ったかと思いますが、
我々国民には「勤労の義務・納税の義務・教育の義務」の3つしか義務がありません。
他は皆、国民に与えられている「権利」が列挙されているにすぎません。
だというのに、「憲法を尊重しろ!」なんて薮から棒に言われたら、一気に義務が増えてしまう事になるでしょう。

しかも、憲法は普通の法律と違って、最高法規です。
法律は、憲法に基づいて作られますし、裁判も当然、憲法の文言に基づいて行われます。
したがって、憲法にNOと言われてしまえば、それは憲法違反として確定的な重罪となってしまうのです。

しかも、今回問題となっている草案では、「日本国憲法」において、最も重要な以下の文言が削除されています。

「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。(97条:基本的人権の意義)」

…信託とか、永久とか、結構、ジーン…とくる文言であったりします。
日本の法律家が憲法の改正に反対な人が多いのも、この一文があるからではないでしょうか。
これを削除するという事は、日本国憲法の存在意義すら危うくする事だと考えています。

そうです。確かに、現状で不都合な事は多々あるでしょう。
しかし、この憲法は、戦後の荒れ野原から復興するにあたって漸く獲得に至った「権利の象徴」なのです。
したがって、憲法を改正するということは、今までの生活が(良くも悪くも)一変するという事です。
それを解っていたなら、こんな非道な憲法草案を見せつけられたら反対するのは当たり前でしょう。

まぁこれについては、”永久”という言葉が抜け落ちているあたり、9条1項も同じでしょうか。

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、”永久に”これを放棄する。」

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては”用いない”」

…まぁ、粗を探せばいっぱいあるでしょうね。
もちろん草案ですから、穴は多くて当たり前でしょう。
けれども、物事には限度というものがあります。

今のままの草案では、とてもじゃないですが、96条の改正はさせられません。
せめて、9条の改正をして、それから様子を見てはいかがでしょうか。
改正案を一通り見ましたが、取り急ぎ変えてもよさそうなのは、9条の一部と、細かな文言ぐらいでしょう。
(もちろん、そこを変えたいから96条を改正したいのでしょうけど)
白熱講義! 日本国憲法改正 (ベスト新書)

スポンサーリンク